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Quantum Superposition × Gravity

ひとつの粒子、
ふたつの重力

量子の粒子が「左にいる」と「右にいる」の重ね合わせにあるとき、その質量がつくる重力はどうなっているのか。重力は粒子がどちらにいるかを知っているのか。まだ誰も答えを知らないこの問いを、時空のゆがみとして触ってみてください。

重力は、どちらの状態か知っているか?
|ψ⟩ = 0.71|A⟩ + 0.71|B⟩
重ね合わせ中

重ね合わせをつくる

右にいる確率 |b|² は残りの分。合計は必ず100%
観測確率は変わらない。ふたつの状態をつなぐ波のうねりが変わる

重力をどう描くか

時空そのものが重ね合わせになるという考え方。左にくぼんだ時空と右にくぼんだ時空が、それぞれ確率の重みで同時に存在します。

観測する

状態 A
0 回
状態 B
0 回
白い目盛りは理論値 |a|²・|b|²。回数を重ねると結果はそこへ近づく(ボルンの規則)

重たいものほど、重ね合わせは長く続かない?

ロジャー・ペンローズとラヨシュ・ディオーシは、ふたつの重力場の食い違いが大きいほど、重ね合わせは自然に一方へ崩れるのではないかと考えました。崩れるまでの時間は、ふたつの質量分布の重力的な「ずれのエネルギー」EG で決まるとされます。

τ ≈ ħ / EG , EG ≈ G m² (1/R − 1/d)

原子ひとつなら宇宙の年齢よりずっと長く重ね合わせを保てますが、猫ほどの重さでは一瞬で崩れることになります。量子の世界と日常の世界の境目が、重力で決まっているのかもしれません。

密度はダイヤモンド程度(3.5 g/cm³)の球として計算
半径 R0.88 µm
重力的自己エネルギー差 EG—
重ね合わせが崩れるまでの目安 τ — —

重ね合わせとは

量子の粒子は、観測されるまで「左」と「右」のどちらかに決まっていない状態をとれます。係数 a と b の絶対値の2乗が、観測したときにそれぞれが見つかる確率です。観測した瞬間にどちらか一方に決まり、もう一方の可能性は消えます。

半古典か、量子か

半古典重力では、時空は確率で平均した質量分布にだけ反応し、半分ずつのくぼみがふたつできます。ところがこの描像では、観測した瞬間に重力場が不連続に跳ぶ矛盾が生じます。そこで時空そのものが重ね合わせになるという考えが有力ですが、まだ実験で確かめられていません。

実験で確かめる

2017年、ボーズらとマルレット、ヴェドラルは、重ね合わせにした微小なダイヤふたつを近づける実験を提案しました。重力だけで両者がもつれ合えば、重力は量子的である証拠になります。必要な精度はまだ達成されておらず、世界中で準備が進んでいます。

時空のくぼみは、重力の強さを見やすくした比喩的な図です。実際のくぼみは極めて小さく、目に見えるものではありません。EG は2つの一様な球を想定した概算です。ペンローズ=ディオーシの崩壊仮説は検証されておらず、最も単純な形はイタリア・グランサッソの地下実験(2020年発表)で否定的な結果が出ています。そのため、粒子の大きさの扱いを変えた修正版が検討されています。

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